収益を生み出すプライシング ~ニューノーマル時代を勝ち抜くために~

ニューノーマル時代に立ち向かうための武器とは?

ニューノーマル時代を勝ち抜くため、企業はどのような対応が求められるでしょうか?
新型コロナウイルス禍による経済への影響はきわめて大きく、消費者の心理を表す指数である消費者態度指数は2020年4月時点で前月比9.3ポイント低下の21.6ポイントを記録しました。これは、リーマンショック後の最低値であった2009年の27.5ポイントをも大きく下回る水準となり、国内消費の冷え込みは過去10年で類をみないほどに深刻なものとなっています。

Declining Economy

昨今では、このような深刻な経済状態は「7割経済」と称されるように、これまで自由に行うことができた経済活動が制限され、平時の7割に留まると言われています。

例えば、一般消費者の活動では、消費マインドの低下による購買行動の抑制や、外出自粛に伴って実店舗えの訪問が減り、オンラインでの購入が増加するなど、行動に変化がみられています。一方で、企業の活動においては、移動および対面での営業活動の自粛など、ヒトの動きが制限されることに加えて、物流が一部に集中するなど、モノという側面でも偏りが発生しているケースがあります。
このように、7割経済において発生する影響は、消費者・企業を問わず消費・購買活動における様々な側面に変化を与えています

過去に類を見ない変化の渦の中で、企業がどう舵をとっていくか。変化の中で勝ち抜くために不可避な命題ともいえる「いかに収益を生み出すか」が今まさに問われています。

価格設定と課題

7割経済の影響下において、企業としていかに収益を生み出していくかが重要である中、今回は、企業における収益の主な決定要素として「価格設定」という側面に焦点を当てます。

企業の収益は各製品やサービスの単価と、提供した数量との間に深い相関があります。そのため、販売戦略において価格をどの程度下げるとどの程度の収益が出るのか、あるいは、収益が最大となる価格設定がいくらかという事は、企業にとって慎重に判断すべき要素となります。

代表的な「価格設定」における企業の課題や視点としては、製造コストや顧客目線を意識した価格設定または競合価格とのバランスを踏まえて妥当性の高い価格を設定することなどが挙げられます。しかし今回、7割経済下においては、以下のような新たな課題に直面していると考えます。それは以下のようなものです。

急変する状況に追従し、価格設定をタイムリーに行うことが難しい

変化の加速しているニューノーマル時代の新たな環境において、適切かつタイムリーな価格設定を行うことが、企業に求められはじめています。価格設定に関する課題において、例として、家電製造や石油精製においては、以下のようなことが起きています。

Manufacturing

<例1:家電製造の場合>

日本電機工業会(JEMA)によると、白物家電の2020年4月の出荷金額が7カ月連続のマイナスとなる前年同月比4.6%減の1713億円であったと発表されました。これは、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う販売店の休業、外出自粛などが影響したと言われています。このような影響に対して、以下のような問題が発生したと考えられます。

Manufacturing

<影響>

1)販売店の休業に伴って発生する販売チャネルの変更やサプライチェーンの混乱や偏り、消費の落込みによる影響が不透明で把握できず、製品の値付けをスムーズに行えない。

2)需要の減少に伴い、海外工場の稼働停止や調達品供給が不安定といった不測の事態が発生する。突発的に起こる製造コストの変動を適切に販売価格に反映することが難しい。

<例2:石油精製の場合>
4月20日のニューヨークの原油先物(WTI)の5月物は1バレル=マイナス37.63ドルという前代未聞の値を記録し、原油価格の底が抜けたとも言われています。現材料の大幅な価格変動は広く波及し、最終製品にいたるまでのさまざまな関連製品の価格に影響を与えています。以下は企業へ求められる価格という観点への影響の一例です。

Oil refining

<影響>

1) 石油価格の急落に伴い、石油関連商品(ナフサなど)の価格も下落。最新の原材料価格を考慮した製品価格や販売コストの定期更新がタイムリーに行えない。

2) 完成品を構成する部品のうち、原材料価格に伴い変動する部品の管理が煩雑化。対象となる部品の数も多く、一括変更や更新が困難。

 家電製造や石油精製といった切り口からでも、さまざまな価格設定に関する懸念が存在します。日々変わっていく状況に対して、適切な価格決定を実現することは無視できない課題の一つであり、企業にとっての収益の最大化において紐づいている要素であると考えられます。

そこで、販売施策ソリューションを提供するVistexは以下のように考えます。

適切なプライシングこそが、売上の最大化を実現し、収益を生み出す打開策である

適切な価格を見極め、いち早く採算性の確保を実現すること。その実現に向け、本記事では、収益の最大化を実現にあたって直面する多様な課題解決に貢献できるVistexのプライシングソリューションをご紹介していきます。

2-Vistexのプライシングを支える3つの柱

Vistexは、SAPのプライシングの仕組みである条件テクニックを簡便化させ、効果的に活用する仕組みを備えています。アドインとして利用可能であるため、インターフェース開発は不要であり、完全にSAPと一体化して活用できるソリューションとなっています。

Vistexが提供するプライシングには、大きく以下の3つの柱があります。

1:迅速・柔軟な価格メンテナンス
2:価格ガバナンスの確保
3:多角的な価格分析

Three pillars that support 2-Vistex pricing

以下では、それぞれの特徴について紹介していきます。

2-1 迅速・柔軟な価格メンテナンス

一般的な価格管理においては、さまざまな障壁が見られます。たとえば、価格管理の際に複数エクセルシートのメンテナンスを要する場合や、価格更新にスクラッチでシステム開発を行う必要性などが挙げられます。また、SAP社の条件テクニックのメンテナンスは難しいオペレーションでもあるため、価格ロジックの変更・反映にはITチームへの依頼が必要である場合や、価格調整のための社内コミュニケーションに工数が掛かるなど、業務的な煩雑性も生じます。そのほか、設定した価格で見込める収益の妥当性判断が難しいといった側面も見られています。

Quick and flexible price maintenance

Vistexのプライシングでは、ユーザ側でエクセルを編集するかのように、利便性高く価格メンテナンスを行うことが可能です。また、変更対象となる価格の数が多い場合でも、一括変更・更新も行えるため、迅速にメンテナンスを行えます。また、計算式が複雑である場合でも、Vistex内で価格決定用の計算式を独自に作成することができるため、柔軟に価格決定ロジックを備えることが可能です。
 このような迅速かつ柔軟な価格設定が、Vistexの価格メンテナンスの特徴の一つとなっています。

2-2 価格ガバナンスの確保

 Vistexを活用することで、価格のガバナンス(統制)への確保に貢献が可能です。Vistexの価格ポリシー機能では、ユーザにアラートやワーニングを出して知らせることができます。例えば、価格設定を行う際に「競合よりも低い価格で価格設定を行う」というルールが社内で設けられていた場合に、その競合以上の価格を設定した際にアラートを発生させるというものです。これにより、各ユーザが価格方針の詳細について意識できていなくても、システムによる統制を活用することで自動的に価格管理を行い、統制の確保を実現できます。

また、VistexのBOMプライシングは、親部品や子部品、孫部品のように複雑な製品構造の価格管理にも対応しています。自動車業界などをはじめとする製造業では、製造する親部品および子部品が、原油など原材料の継続的な価格変動に影響を受ける場合があるため、さまざまな階層の部品価格を効率的に管理するソリューションが長きにわたって求められてきました。1つの部品の価格変更が、数十を超える広範な部品に影響を与える可能性もあるため、リアルタイムの価格更新が必要不可欠です。また、リアルタイムでの価格更新を実現し、そのデータを確認する際にトップダウンまたはボトムアップなど、任意の形に切り替えるといった柔軟な可視化も実現することができます。

Ensuring price governance

そのほか、石油から精製されるナフサや、アルミニウムなど、コモディティ(原材料)の市場価格は日々変動する要素であるため、完成品の価格決定に大きな影響を与えます。Vistexのコモディティ・プライシングはこうした価格の変動に対応するソリューションです。Vistexでは変動する原材料の市場価格をシステムに自動的に取り込み、価格マスタなどへ反映させる機能を有しています。これにより価格反映業務の自動化に貢献できることができます。さらには、変更前後の価格情報を参照し、関連する伝票について遡って価格修正を行うことにも対応しています。一般的には、ある価格での取引後に価格変更があった際、成立済みの大量の取引情報を一つ一つ後から修正する必要に迫られます。Vistexのコモディティ・プライシングを利用することで更新・反映された新しい価格に対応して、再計算を行い総価格を即時かつ一括で反映させることが可能となります。

このように適切な方法で価格決定を管理し、一定のガバナンスを保つことができる点も、Vistexが提供するプライシングの大きな特徴のひとつです。

2-3 多角的な価格分析

設定したプライシングによりどれだけの収益性を見込むことができるか。プライシングの妥当性を検証できることも、Vistexのプライシングの特徴のひとつです。Vistexのプライシングでは、以下のような多角的かつビジュアルな分析が可能となっています

  • プライスウォーターフォール分析(販売費、広告宣伝費、リベートといった販売価格を構成する要素を分解して表示)
  • 価格弾力性分析(単価を変更した際の数量や金額への影響を分析)
  • プライスコリドー分析(SAP ERP内のトランザクションから商品の適切な価格レンジを導出し、実績との乖離に対する分析)

他にもさまざまな分析を備えるVistexにより、多角的な分析から効果検証を行い、示唆を得ることができ、迅速な意思決定および更なるシミュレーションに寄与することが可能です。

まとめ:Vistexがもたらすプライシング

来るべき新しい時代を勝ち抜くために、Vistexが提供するプライシングとして、以下の3つの柱についてご紹介をしてきました。

1:迅速・柔軟な価格メンテナンス
2:価格ガバナンスの確保
3:多角的な価格分析

Multilateral price analysis

このように、価格設定→価格管理→分析を踏まえて、再びシミュレーションを実施することを踏まえ、より高い精度でサイクルを回していくことが、Vistexソリューションによって実現可能です。

ニューノーマル時代を勝ち抜くための武器として、以下が重要であるとVistexは考えます。

◎変動する状況を反映した、適切かつスピーディなプライシング
◎企業の採算性を確保した、収益の最大化

Vistexでは、こうしたプライシングソリューションが、課題解決に効果的に貢献が可能です。本記事でご紹介させて頂いたソリューションに関して、より詳細な情報をご希望の場合、もしくはご不明な点がございましたらVistexおよびSAPまでご相談ください。

以上

  • お問い合わせ先
  • 水谷美夏, Marketing Specialist
  • P: 03-4589-5315
  • E: info.japan@vistex.com

投稿日:2020年7月2日