デジタルトランスフォーメーションは、小売業者や消費財メーカーが取り組むべき最優先事項
デジタルトランスフォーメーション(DX)は使い古された言葉のように見えるかもしれませんが、テクノロジーが生産性や効率、利益を高めることができるという認識は広がっており、今日の小売業者や消費財メーカーが取り組むべき最優先事項となっています。生産性、効率性、利益の向上を望まない人はいないでしょう。多くの小売業者や消費財メーカーでは、コミュニケーション、ワークフロー、可視性、敏捷性などに課題を持っており、DXはやった分だけその価値が出る取り組みと言えます。
DXには、計画、戦略、そして包括的な取り組みが必要です。よく言われるように、DXを実現するためには、「その時が来たら取り組む」というのは理想的ではありません。通常、小売業者や消費財メーカーは、DXプロジェクトを通じてその必要性を認識しています。DXプロジェクトの成否は、その大小に関係なく、いくつかの要因またはその組み合わせに左右されます。数々のプロジェクトを見ていると、デジタルビジネスを加速するために必要な要素は、テクノロジー、取組方法、戦略、人材、そしてコミットメントであると考えられます。
ボストンコンサルティンググループ (BCG)では、35を超える要因およびその組み合わせを検証した独自調査 をまとめています。DXプロジェクトには、これまで手作業で行っていた作業を自動化するなどの抜本的な変化を生み出すこともありますし、古いテクノロジーを最新のシステムに置き換えたり、古いテクノロジーと最新のテクノロジーを組み合わせたり、とさまざまな形があります。DXに取り組むためには、まず業務プロセス全体を評価することから始める必要があります。
そのためには、次のような質問に答えることから始めましょう。
- 業務プロセスで何が機能していないのか。
- 機能していない要因は何なのか。
- どうすれば良くなるのか。
- 変更した場合の他の業務への影響は何か。
- デジタル化によって解決できるのか。
- 具体的に何を自動化する必要があるのか?
BCGは、世界の主要70社の調査において、「DXプロジェクトの70%がその目的を達成できず、しばしば深刻な問題を起こしている」という調査結果を発表しています。パンデミックによって新しい働き方は加速しましたが、DXプロジェクトは、以下に述べるようなことが欠けたことで失敗になると考えられます。
DXプロジェクト成功のための5つの金言
データを中心に考えること
パンデミックはビジネスモデルを劇的に変化させ、小売業者や消費財メーカーの間でデジタル化が加速し、試験的な取り組みを迅速に取り入れるようになりました。しかしながら、データがクラウドやオンプレミスに分散していると、適切なデータを適切な場所に届けることが問題になります。この新しいデジタル経済で勝ち残るためには、小売業者や消費財メーカーは、データリソースを活用しなければなりません
改善を続けること
業務プロセスをシステム化していない、業務プロセスに則していないシステムを使用している、構築した業務システムを評価していない、という3つがDXを失敗に導く最も大きな要因になっています。ツールを定期的に評価し、問題の良し悪しを認識しなければ、円滑な運用はありません。常に改善を続けていきましょう。
目的を浸透させること
いかに素晴らしい技術でも、すでに破綻している業務に導入すればDXプロジェクトは失敗します。また、チームが新しい技術を受け付けないこともあります。消費財メーカーや小売業者は、目的を軸にして業務プロセスと組織設計から事業戦略を練ることが必要であり、それをして初めて、ビジネス改革を成し遂げることができるのです。
抵抗に負けないこと
デジタルトランスフォーメーションは、特にそのプロセスに関わる人々に変化をもたらします。多くの場合、従業員は現状維持を望み、変化に抵抗します。ですので、コスト、意思決定、生産性のような効果を出すまでに時間がかかるものについて、その効果が出る前に誤った方向に進んでしまうことがあります。変革はトップダウンで始めなければなりません。チームリーダーを巻き込むだけでなく、組織全体で企業文化を変える必要があるかもしれません。
デジタル化が大きな変革であると認識すること
デジタルトランスフォーメーションには、2つのデジタル化があることを明確に理解する必要があります。1つ目は製品やプロセスを単にデジタル化することであり、もう一つのデジタル化とは、製品仕様やスプレッドシートで管理されているようなプロセスを自動化や統合によって作業負荷を軽減することを意味しています。デジタル化とは、DXの最初の一歩であるのと同時に、組織全体を変革するものなのです。