小売業界が2022年に注目すべきトレンド

新型コロナウイルスによって大きく変化した小売業界の3つのトレンドを紹介

小売業界は、2年にわたって新型コロナウイルス感染症対策の最前線に立ってきました。これからも予想されるCOVID-19の蔓延による影響や変化に対処するためにはどうすればよいのでしょうか。また、2022年以降に焦点を当てるべきことは何でしょうか。本ブログでは、小売企業がニューノーマルに向けて備えるべき3つのトレンドを紹介します。

自律走行搬送ロボットの台頭

1. 労働力不足によりテクノロジーやロボットの活用が加速
米人材マネジメント協会(SHRM)の報告によると、小売業者の87%が募集職種の人材確保に苦労しており、73%が募集職種への応募が減少しています。雇用主と失業者の双方に影響を与えている要因として、新型コロナウイルスの感染への不安、育児への懸念、高額な失業手当、仕事のストレス、燃え尽き症候群、さらには早期退職などが挙げられます。

新型コロナウイルスがもたらしたこの状況において、単純作業を行うような職種の人材不足を補うために、テクノロジーやロボットの利用が加速するでしょう。小売業界では、何年も前からデジタルトランスフォーメーションが進んでいます。チャットボットはカスタマーサービスに採用されており、店頭でも在庫状況のモニタリングや基本的な質問への回答にロボットが利用されることが多くなっています。小型情報端末で接客を行い、お客様の商品購入をサポートしています。さらに次に来る変化としては、自動走行搬送ロボット(AMR)を活用した、一部の倉庫や輸送業務の自動化が考えられます。

より柔軟なビジネスモデル

2. サプライチェーンの混乱により、新しいビジネスモデルを模索
新型コロナウイルスが流行する前は、小売業者のサプライチェーン環境は安定しており、売上は予測可能で、ベンダーパートナーとの協力も得ることができましたし、時々、発生する不測の事態についても、その影響を最小限に留めることができました。これまでは、”ジャスト・イン・タイム “方式で安全在庫の量を削減し、在庫を最小化してコストを削減しながら、収益、利益、顧客満足度を最大化するのが鉄則でした。

しかしながら、新型コロナウイルスは、消費者、小売業者、流通業者、メーカー、サプライヤーのすべてを変えてしまいました。

小売企業は、新たに柔軟なサプライチェーンのモデルを構築しなければならなくなっています。小売企業は、従業員や小売業務だけでなく、サプライチェーンにあるパートナーやそのネットワークにも影響を与える政府の方針に常に対応しなければなりません。例えば、現在カリフォルニア沖には70隻のコンテナ船が停泊していますが、コンテナを乗せるトラックやドライバーが不足しているため、約65万個のコンテナを降ろすことができません。調達のための倉庫は満杯で、これはメーカーにも影響を及ぼしており、サプライチェーンの関係者全員がワクチンの義務化と労働力不足の影響を受けています。

そして、現在、サプライチェーンの問題や生産の問題が解決しないまま、経済回復によって消費活動が活発化し、サプライチェーンではブルウィップ効果が起きています。つまり、コロナ対応で製造能力を減らした中で消費者の支出が増えたことで、供給不足が起き、商品価格が上昇するという現象が起きているのです。

フィジタル(フィジカル×デジタル)の台頭

3. オムニチャネルの次に来るフィジタル
フィジタルという言葉は聞き慣れない言葉かもしれませんが、フィジタルとは物理的な世界とデジタルな世界との融合を意味します。例えば、Amazon Goでは、店内に入って商品を選び、レジに立ち寄ることなく店を出ることができます。フィジタルなお店とは、全てをデジタル化して、あなたを認識し、あなたが選んだ商品をモニターして、自動的に課金することができます。ARを活用した買い物では、モノを買う前に仮想的に「商品を試す」ことができ、よりパーソナライズされた体験が可能になりますし、店舗での買い物体験をより忠実にデジタルで再現できます。例えば、家具を家の中に仮想的に配置できる「Ikea Place」アプリのほか、口紅の色やファンデーションの色を検索できるMAC Cosmetics、バーチャルで試着体験ができる「The Modern Mirror」などがありますが、まだまだフィジタルは始まったばかりです。

フィジタルは、お客様との関わり方を変える無限の可能性を秘めています。次回のブログでは、フィジタルを深く掘り下げ、小売業界での活用方法を探りたいと思います。